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誇り高きライオン　シー・ズーのお好みリンク
猛烈な勢いで突進してくる最中に、雌犬は急に止まり、体を固くした。
雌犬の鬣は以前逆立つたまま、尻尾は下がり耳も垂れていたか、その鼻孔は広く、一杯に広がり、風が運んでくる知らせを喜ばしげに吸いこんでいた。
いまや、逆立っていたたてがみは寝て、その体に身震いが走ると、雌犬は耳をぴんと立てた。
私は雌犬が喜びを爆発させるかと思ったか、雌犬はそうしなかった。
イヌの全性格を変え、この最も従順だった生き物に躾や決まりや命令を何力月もの間忘れさせてしまうほどに厳しかった精神の苦しみは、一瞬のうちに消え去るものではなかったのだ。
その後肢は折りたたまれ、鼻はまっすぐに空に向き、何ごとかそののどの奥に起こった。
数力月にわたる精神的な苦痛は、背筋を寒くするような、しかし美しいオオカミの遠吠えにはけ口を見出したのだった。
おそらくは三十秒ほど雌犬は吠え、そして稲妻のように私に飛びついてきた。
私は嵐のようなイヌの喜びの渦に巻き込まれてしまった。
雌犬は私の肩口にまで飛び上がり、殆ど上着をもぎとりそうになった。
貴族的で、つつましやかで、喜びを示す態度も通常は控え目に数回尻尾を振る程度であり、その感情がもっとも高まったときの仕草も私の膝に頭を載せるぐらいだった、おとなしいイヌである雌犬が、機関車のように興奮を爆発させ、引き裂くような調子で、数秒前に吠えたのよりもむしろ大きな声で叫ぶのであった。
それから突然、雌犬はやめて、私の前を通って人口のほうへ行き、そこで立ち止まると肩ごしに私のほうに振り返り、外に出してくれるようにせがむのであった。
私が帰ったからには雌犬の監禁も終わりを告げ、まったく昔の秩序にもどるのは、雌犬にとっては自明のことだったのである。
なんと幸運な動物、そしてなんと羨むべき神経系の強靭さだろう。
その原因が取り除かれてしまうと、精神的な衝撃は三十秒にわたる遠吠えと一分半の喜びの舞踏で癒されてしまうほどの副作用しか残さないのだ。
まったく完全に治ってしまい、すぐに元の生活に戻ることができるのだ。
犬を従えて私が家にもどると、妻はそれをみて叫んだ。
大変・　ニワトリが。
犬は一羽のメンドリにすら目をくれなかった。
夜になって私が犬を家に入れると、妻はこのイヌはもう躾がなっていないと注意した。
しかし犬は昔と同じように、完全に訓練された飼いイヌであった。
と思います。
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雌犬は私かかつて教えたことをまだ何でもやれたし、私がたかだか二ヵ月の訓練で育てあげたのと、まさに同じイヌであった。
イヌの身に降り掛かるものとしてはもっとも深い悲しみの九ヵ月の間にも、雌犬は私に教えられた全ての事を忠実に保持していたのである。
そしていまや、雌犬にとっては最も純粋な喜びの日々か訪れた。
その夏の休暇の問、雌犬は私にとって欠くことのできない伴侶であり、ほとんど毎日我々は河原に沿って長い散歩をし、時々は川に入って泳いだ。
しかし、もっともすばらしい休日にも終わりかある。
スーツケースを荷造りするときがくると、すでに述べた悲劇がふたたびくり返される兆しを示した。
雌犬は活気をなくして沈みがちになり、私のそばにぴったりくっ付いているようになった。
こんどはイヌが人間の言葉をそのままに理解できないという事実が、哀れな動物の毎日を惨めなものにした。
私は雌犬を一緒に連れていく決心をしていたのだが、雌犬にそれを分からせることができなかったのだ。
たえず、置き去りにしはしないといい聞かせたのだが、雌犬の神経の緊張状態はつづき、私から目を放そうとはしなかった。
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ようやく、私は雌犬にわからせることができた。
出発の直前に、雌犬はまた庭の片隅に引き籠ったか、明らかに前と同じ意図でそうしたのである。
私は雌犬を放っておいて、出発の準備ができたときに、いつも散歩のときに呼びかけるのと同じ声の調子で雌犬を呼んだ。
すると雌犬は急にそのことを理解し、安心して、私のまわりを狂喜して踊り狂ったのである。
雌犬は自分の主人とほんの二、三ヵ月しか一緒にいることかできなかった。
同じような別れのなげきが演じられたが、このときには前とは少し違っていた。
雌犬は逃げてしまい、全く一人で二ヵ月間、罪に罪を重ねながら野生の動物の生活を送ったのである。
雌犬が、ウサギ小屋を荒らした神秘的な「キツネ」であったとしても、私は疑わない。
クリスマス後に、ひどくやせ細り、目と鼻から膿を出しながら雌犬は私の家の妻のもとに帰り、妻の手当てで健康を回復した。
しかし、雌犬を家においておくことは不可能だった。
そこで雌犬は雌犬の夫となる大きなシベリアオオカミの檻に入ることとなった。
不幸なことに、この結婚は子どもに恵まれなかった。
数力月後、私は雌犬をふたたび手もとに引き取って一緒に住んだ。
現在私だちが飼っているイヌはすべてその子である。
雌犬はその六年の生涯のうち半分にも満たない日々を、主人と一緒に過ごしただけだが、それでも、雌犬は私が知っているイヌのうちでもっとも忠実なイヌだった。

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