何か所か大きな傷あとがある。 正面の幹、左側面の足元、そして、樹頂部にも大きな傷がある。 しかし、痛々しさがない。 旺盛な枝が、傷あとを忘れさせてくれる。 だが、健康的にいくら上にのびていても、生理的に強さが感じられるだけのことで、鑑賞する場合、つまり美的に観ると、その逆のことがいえる。 上方へのびるままに作ると、樹の高さは表現できるが、横のひろがりが狭く感じられるようになる。 細くなって見えるのだ。 これでは、樹のもつダイナミックな力強さを表現できない。 そこで、上方へと向いている、枝下げてみる。 下方へ、横へと下げていけば、ひろがりがうまれてくる。 |