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ヒツジの毛皮が寝具に用いられたのは疑いないが、羊毛をつむぐ技術はそののち約三〇〇〇年間も興らなかった。 ヒツジは中国でも古くから飼われていたけれど、やはり羊毛の繊維は段王朝[紀元前一七六六ー:三二年]の時代でさえも知られていなかった。 しかしながら、ローマではヒツジは繊維の資源として高く評価され、新品種のヒツジが優勢であった。 これらの羊毛用のヒツジは、アンダルシア種とアフリカのメーン種とのかけ合わせによってつべられ、その子孫はイタリァ南部のヒツジと交配された。 特別な品質の羊毛を得る目的で、交配はおそらく計画的にはおこなわれずに、北アフ聾力で捕らえられたカルタゴ種のヒツジが、スペインを経てイタリァに運ばれたころからおこなわれるようになったものであろう。 こうしてつくられた新品種は、のちに何世紀ものあいだスペインに富をもたらしたメリノ種の先祖である。 |