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しかし、実態はこのようなのんきな話ではない。 マツの材線虫は羽も足もない小さな線虫であるから、自分で木から木へ移動することができない。 そこでカミキリムシの一種であるマツノマダラカミキリを主として、東北地方ではこのほかカラフトヒゲナガカミキリともコンビを組んで移動する。 材の中でカミキリムシの蠣の体に乗り移った線虫は、初夏になると成虫になったカミキリムシといっしょにマツの材から出て、他の健全なマツの枝に移動する。 カミキリムシが健全な枝を食害した穴から線虫は侵入するわけである。 線虫に侵入された枝はやがて衰弱してくるが、カミキリムシはこのような衰退したマツを好んで産卵する。 このような仕組みのサイクルでマツの材線虫病による壊滅的なアカマツやクロマツのマツ枯れは起きている。 最近は本州中部、東北地方の高寒冷地にも材線虫病は暖地に比べて少ないが発生しており、岩手県、秋田県の男鹿半陽にまで拡大している。 高寒冷地には材質優良な長野県の霧上松、山梨県の諏訪森松、福島県の岩代松、津鴎松、宮城県の甲地松などの産地がある。 建築材、土木材、基礎杭、パルプ材その他、踊途の多いアカマツ材を確保し、名木、庭木などの保護のためにも、これ以上の被害の北上を防がねばならない.そのためには材線虫病被害材の移動、持ち込みを注意し、病気を早期に発兇し、早期駆除すること、適正な除間伐とともに、枯損木を早期処理するなど、健全なアカマツ林を育てて.未発生地域への病気感染を阻止する必要がある。 |