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そこで、今日的な意味での赤松盆栽の将来を考えてみると、従来から言われてきた「赤松は文人木」という常識はそれとして、赤松本来の魅力がどこにあるかが聞われねばならないであろう。 赤松は、文人木だけではないのである。 細幹のものが文人木に向くのは当然としても.太幹に迫力ある模様木、人為を超えた捻転する幹をもつ変わり木、禽利を晒し神を噛む豪壮の幹、あるいは懸崖・株立ち・寄せ植え・石付きにと、赤松の樹形は白由な展開を可能にする。 現にそうした素材や名品も数多いのである。 ただ、現在のところ文人態以外の樹型のつくり方に関しては、黒松の方法・様式を流用するケースが目立つ。 培養法や掛性のみならず、樹型についても一考あって然るべきであろう。 たとえば、幹・枝と葉との調和。 赤松の優しさは、その葉の柔らかさや浅緑(黒松に対して)に最もよく現れる。 それを考慮しての葉の長さ・密度・小枝配りが求められよう。 力強い幹に対しての葉組みと、綱幹で肌荒れた樹への葉組みとは自ずと異なり、そこに赤松の魅力もまた現れるのである。 |